今年もLOCAL DEVELOPER DAY’11/Fall in KUSHIROを開催することができました。
イベントからもう2週間が経とうとしていますが、ようやく僕の中で整理が付いてきたので、自分なりにまとめておこうと思います。時系列を追ってのまとめは、他の方が書いてくださっている通りなので、思うところを中心に。
自分のやったこと
今回僕は、こんな感じでこのイベントに関わりました。
- 主催団体の一つである一般社団法人LOCALの一員として、大まかな企画立案
- 当日の写真撮影
- いち個人の勝手企画として、澤田北海道ツーリストの催行
- そして、もちろん、一人の参加者として
なので、それぞれの観点、切り口から、振り返ってみようかなと思います。
イベントについて
今回のイベントの企画運営は、実質的には釧路OSSさんが主体となって動いて下さりました。釧路OSSの皆さまに感謝いたします。運営については、細かく見ていくと、改善するべき点などはあるかな、と思います。とはいえ、現状で出来る限りのことをしていただいた、とも思います。今後、もっともっと良くなっていくだろうなあ、と思っています。
そういった細かいことより、まず、今回、このタイミングで、この内容のイベントが出来たのがとても良かったと思います。特に、稲葉さん、june29さん、そして釧路市副市長の小松さんを迎えてのパネルは、釧路OSSだから実現できたのではないでしょうか。
単にパネリストに素晴らしい面々が並んでいて良かった、ではなく、内容が良かったと感じています。進行の斎藤さん、お疲れさまでした。
今回のイベントは1~3コマ目までテクニカルなセッションは無く、4コマ目の一コマにテクニカルセッションが平行3本走るという、なかなか他のコミュニティイベントでは考えにくい(と思う)タイムテーブルとしました。釧路OSSさん自体が開発者コミュニティではなくユーザコミュニティである点、また想定するイベント参加者像を考慮して、こうなっています。
いわば前半「非テクニカルの部」のまとめとなるこのパネルセッション、まず印象に残ったのが小松副市長との距離感の近さでした。
市でのOSSの活用について、一筋縄ではいかない事情などを紹介頂いたうえで「それでもうまくいけばみんな幸せになれるんだから勉強していきたいよね」という趣旨のお話を頂いたと記憶しています。(記憶ベースなので一言一句までは自信無いですごめんなさい) それ自体は、いや、もちろんとてもいいお話なのですが、それよりいいなあと僕が嬉しく思ったのは、こう、一緒に考えていこう!っていう空気といいますか、一緒に考えてくれているなあ、と感じられたことなのでした。「まずは足がかりに小さなサブシステムからですかねえ」というような話もあったかと思うのですが、今後もこういった意見交換が続けられて、実際の動きに繋がっていくと素晴らしいなあ、と感じました。
ところで、小松副市長は、毎日ブログを書いていらっしゃる素晴らしい方なのですが(これは簡単なことではないです)、当日の日記にもあるように、june29さんの「プレゼン」に大変感銘を受けていらっしゃいました。要するにZENスタイル、ということになると思うのですが、june29さんご自身が仰っているように、これは功罪微妙なところあるのかも、などと生意気にも思いました。僕はZENスタイルでのプレゼンなんてできないので、偉そうなことを言える身分ではないのですが。
june29さんのプレゼンテーションは、素晴らしいものでした。示唆に富んだ内容で、僕なんかは釧路が地元の人間でもなんでもないですが、とても勉強になりました。あと、「ITで釧路をでデベロップする」のdevelopを自動詞として捉える、というのは気付かなかった。テーマが大きかっただけに、話すポイントを絞り込むのが大変だったかと思います。本当にありがとうございました。
この日の前半「非テクニカルセッション」の土台となる、OSSサービスの現況について、1コマ目に稲葉さんにお話を頂きました。
内容としては、この日記を読むような方はどちらかというとOSSサービス提供側の方が多いぐらいではないかと思いますので、改めて僕から書くことはありません。今回のイベントは、普段OSSに接していない方も多いだろうという想定がありましたので、そういった方には興味深く聞いていただけたのではないかと思います。また、パネルセッションにおいては、「OSSはサポートをどうするのか」といった話題や、「OSSが基幹で使われるなんて考えられない」などといった質疑(会場から)などがありました。そういった問題こそ、どのような(どのように)OSSサービスを提供し、ユーザ企業はそれを活用していくか、という話題そのものになるのであろうと思います。今回は時間の制約上、内容を深めることができませんでしたが、時間が許すのであればその話題だけでもう一コマやれると面白かっただろうなあ、と思いました。稲葉さん、本当にありがとうございました。
懇親タイムについては、去年の日記を見てもらえれば大体いいかなと思います。また、その後のテクニカルの時間については、各所写真撮影で回っていて、それぞれのお話を聞いていないので、ここはちょっとどんな感じだったのかわからないです。
総じて、テクニカルに寄りすぎず、有志個人の集まりによるコミュニティで、地元の活性化をIT/OSSという視点から考えるコミュニティ、という色合いが出たイベントになったのではないかと思います。特定技術をテーマとしたコミュニティでは企画出来ないのではないでしょうか。と、こう書くと小難しい感じに見えますが(スーツの人が難しい顔をして難解なお話をしているような)、そうではなく、眠くなる余裕なんてない、とても充実したイベントでした。その点において、今回のイベントはとてもよかったと感じました。
写真撮影について
半分趣味なのでさらっと。
- 80-200/2.8は偉大
- 直進式の初期型だけど、AF遅いけど、ていうかなんかイマイチAF外すけど、VRもEDもないけど、それでも200/2.8じゃないと撮れない
- ISO1000でスピードライト使って-0.3EVでようやく1/100。これでも被写体ブレは避けられない。
- どうせ200mmになったら三脚使わないとどうしょもないんだからVRは無くていい(この用途なら)
- そりゃEDレンズ欲しいけど
- 自前のスピードライトの購入を検討すべきか否か悩むところ
- 普段使わないけどイベントの人撮りにはやっぱり必要だなあ
- SB-700かなあ
- 16-85/3.5-5.6 VRは失敗
- 広角全景用手持ちサブ機のレンズは17-50/2.8 VCにするべきだった。暗い。
- D7000ならISO1600とかISO2000とかで撮れるのかなあ・・・ほわわ
- 今回新たに導入した三脚は、モノに文句は無いんだけど如何せん重い。クルマじゃないと辛い。
まあ、記録としてはそれなりに撮れたと思うので、こんなもんじゃないかと思います。
澤田北海道ツーリストについて
無事故無検挙で良かったです。それが全て。
と、これだけじゃアレなのでもうちょっと補足すると、何より、往路が開始時間に間に合って本当によかったです。途中、国道区間で車が詰まったりとやきもきした場面もありましたが、無茶はせずに15分前には開場入りすることができました(ただし、今年も味噌汁は走行中の車内で飲むことになりました。ごめんなさい)。要するに去年の道中遊びすぎたことを反省して無駄を切り詰めた点と、イベントの開始を30分遅らせてもらったのが奏功した結果になると思います。そして、もし来年があるなら・・・来月、念願の道東道全面開通です。もっとラクになると思います。
そういえば、特に二日目の食事など気にかけて頂きみなさんすみません。
ツアーやるということは、つまりそういう事だと、最初からそのつもりでやっておりますので、何も問題ないのです。食べすぎたら眠くなっちゃうし。
あとは、観光スポットが好評で良かったです。2年連続で天候に恵まれなかったのは残念ですが、博物館も模擬坑道も素晴らしかったと思います。実際の採掘現場は暑いらしいですね。一回行ってみたいものです。
いち参加者として
今回のイベントを振り返っていたら、いつの間にか、経済圏の人口と、その地域に根差すコミュニティの傾向について考えていました。
大規模都市(たとえば東京)には、専門性が高いエッジのコミュニティが成立するように思います。それは当然と言えば当然のことでしょう。それぞれの専門分野(たとえば特定のソフトウェアや技術単位)でコミュニティを細分化(=狭く深くなる)していけるのかと思います。一方で、それらコミュニティ間の横のつながりというのは、どれぐらいあるのでしょう。あまり横で繋がらなくても、それぞれでうまく回っているのであれば、積極的に連携する必然性は薄いのかもなあ、などと思うのですが、結構繋がってる気もするし、その辺はちょっと何とも言えないところです。よく発表側に回る人ではなく、勉強会やイベントへの参加者レベルでの繋がりは当り前にあるものなのでしょうか。今ならtwitterでやりとりしますよね。いずれにせよ、こういった大都市圏では、2000年頃にはコミュニティが成立していたのかなあ、と思います。
中規模都市(たとえば札幌)には、エッジのコミュニティは成立しずらいのかなあ、と思います。もちろん、地方都市で最先端・エッジの事をやっている方はいらっしゃいます。が、大規模都市ほどその数は多くないため、エッジのコミュニティの成立が難しいのではないでしょうか。とはいえ、専門性の高いことに造詣が深い方や、それを仕事にしている方、興味がある方は居り、そういった方々が勉強会を開催しているのが現状ではないかと思います。コミュニティの単位としては、大都市ほどは専門性の高い切り方では成立しずらいけれども、ある程度で細分化して成立している感じなのかなあ、と思います(大規模都市にも、同程度のゆるい切り方のコミュニティは存在すると思います)。コミュニティ間の横の繋がりもある程度あって、たとえばインフラとセキュリティ、のように関連領域では、結局参加する人や主催する人が同じになりやすく、横の連携が行いやすいのかな、と思います。僕は札幌の事しかわかりませんが、ここ4-5年で、そういった勉強会が活発になったかな、という印象です。
では、小規模都市(たとえば釧路)は、どうなるのでしょうか。ここが2011年の今、問われているのではないでしょうか。
特定技術に細分化したコミュニティは、成立しないでしょう。元々の分母となる経済圏の人口が少ない上に、そういった地方都市ではITを専業とする会社がそう多くない、という事情もあるかと思います。そうなると、釧路OSSのように、様々な趣味・関心・指向がmixされたコミュニティが成立するのは必然かと思います。地方都市のコミュニティは、これを「特長」として自認する必要があるのだろう、と今回感じました。
専門性を求めても、大/中規模都市と同じことをやるのは難しいかと思います。話し手が居ない(居ても一人になってしまう)、参加者が集まらない、という状況では、やる方が疲弊してしまうだけになりそうです。そうではなく、むしろ大/中規模都市のコミュニティではあり得ないもの-関心領域の広さ、様々なポジション(見識、指向、社会的役割、職業)の人間の「組み合わせ」から生じる「活動の幅」-が持ち味になるのではないかと思います。今回の釧路OSSのイベントが、まさにそうだったのではないでしょうか。僕はじゅーんさんの「組み合わせる」を、自分たちにも向けられているなあ、と感じながら拝聴していました。
他の都市、特に大/中規模都市を真似ようとしない勇気が必要なのだと思います。自分たちが、自分たちをどうしたいか(たとえば、地域経済に貢献する、ITで楽しく暮らす、学生を育てる)を今一度見つめ直す必要があるかもしれません。そこでコンセンサスを得て、その目的のために活動していくことができれば、それが小規模都市におけるコミュニティのあり方として、新しいスタイルになるのかもしれない、と思いました。いや、新しいスタイルかどうかなんて、どうでもいいんですけど。その地域に貢献でき、かつ、やっている方も楽しいコミュニティが形成されるのではないでしょうか。
ところで、小規模都市におけるITコミュニティの成立下限規模は、どの程度なのでしょうか。釧路を見ていると、20万都市はいける気がします。10万都市はいけるのでしょうか。5万都市では無理なのでしょうか。きっと、それぞれの規模や地域に適したやり方があるのだと思います。それぞれの地域で、それぞれのやり方が見つかるといいのですが。
そんなことを考えていました。
ここまで書いて思いましたが、大規模・中規模・小規模都市って、たぶん独自の言い回しになっちゃってますね。学問上や社会通念上は違う区切りになるのかもしれません(政令指定都市はみんな大都市?)。そこは意図を酌んで頂けるとありがたく。
あともう一つ、じゅーんさんの出したキーワード「嫉妬」について。tweetもしましたが、とても共感します。これについて僕は「常に下の世代に嫉妬していられる状況を維持できれば、それがいい」と感じました。それ自体は常々思っていたことですが、「嫉妬」の一言で見事に表現しきったじゅーんさんのセンスには脱帽です。
結局、自分がいいなと思うものを一つでも残すことができれば、文化の拡大再生産と言うと大げさですが、バトンを繋ぐことができた、ということになるのではないでしょうか。そう考えると、何か一つでも自分が思う「良い方」に変えて、次に繋げることが大事なのでしょう。センパイはコーハイにオゴル、の繰り返し、みたいなものですかね。(ちがいます)
まとめ
要するに、いいイベントだった、みんなおつかれさま、釧路の今後に期待!ということでした。ここまで読んだ方、お疲れさまでした。
いやしかし、もうちょっと手短に書けないもんかね、おれ。
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