driving all night


そんな風が吹いたから、ちょっと出かけるんだ

音楽は何だっていいんだけどね、そうだねいつもとは違うやつにしようよ

そうだよさっき借りたレンタルCDでいいじゃん

その辺で何か飲みものでも買ってさ、そうそう、ガソリンも入れないとだ

ガソリンさえあれば、東京までだって僕は行けるんだ、いやほんとだってば

じゃあどこへ行くんだって、そんなのわからない

きみは、最初から目的地があったのかい?へえ、そいつはすごい

僕はただ、気の向くままにウインカーを上げるけどね

道なりに行こうかなと思っていても、

いつもどこかで変な好奇心がわいて、なんとなく脇道に入って行っちゃうんだ

どうせこの辺はどこに行ったって知ってる場所

本当のことは何も知らない場所

僕の知っている道は記憶の中に存在し、現実の道はいつも僕の覚えにない表情をしている

今この限られた瞬間に出会える表情は、僕の記憶にはない気がするんだ

どうかなあ

ただの中山峠、ここが今日の僕に許された目的地

どうしてこうなったのかはわからないけど、そんな風が吹いたから

辿りついてみて初めてわかることだってあるよね

僕が自分で見つける風景を、感じ取った全てを、記憶の沼にそっと沈める

さあ、終わりの時間がやってきた

山の稜線が、雲のシルエットが夜の終わりを告げるんだ

終わりであり、始まりであり

配送のトラックが僕を 現実まで道案内してくれる

世界は年中無休で回っている

だから僕も振り出しに戻るんだ

またいつか許される夜まで

おやすみ

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